ランニングの話

19時58分 IZU TRAIL Journey 2015 Episode10 DAY.84

前回の続き

55.3km地点(最終エイド)土肥駐車場に関門時間(17;00)の2分前に到着。

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最終エイド到着から30分前

最終エイド到着から遡ること30分前の16:30頃。泥道との格闘中だった。
前日に雨が降ってくれたおかげで泥道多し。
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*泥道イメージ*

この泥道が体力、気力、精神力を削ぎ落としてくれて、一歩一歩が重い。。。。
それに加えて関門時間が迫っている現実。朝6時にスタートして既に10時間以上走り続けていて、そろそろ自分の限界に達しようとしていた。

関門10分ほど前に、何とか間に合いそうに思えてきたけど、自分の短いラン人生で、初めて本気でリタイアしようとした。リタイアすることに本気も何もないんだけど、本当にこれ以上走れる余力も根性もなかったから、関門時間に間に合わないように歩いた。

約2年近く走ってきて、今までDNFが一度だけ(野辺山ウルトラマラソン2014)あるけど、なんだかんだで自分からリタイアしたことは一度もなかった。でもこの時は本気でリタイアしようと思った。

エイドステーションが近づくに連れて、遠くからアナウンスが聞こえてくる。
エイド実況「あともう少し!まだいける。まだいける。まだいけるよ〜!」
自分「いや無理だ。絶対無理だ。関門に間に合ってもリタイアするだけ。だったらこの関門でリタイアした方が綺麗だ」
エイド実況「あと4分!あと4分!走れば間に合います!!間違いない!走れ〜!!」
自分「いやいやもういいんだ。もう諦めた。もう一歩も走れない。間に合わない方がこのレースをさっぱり終えられる」
エイド実況「あと3分切った!もうあと100mだ!間に合う間に合う!」
〜坂道を登って後は直線100m〜
関門に間に合う距離まできてしまったことに後悔しながら、ふと思ったことがあった。

エイドまで行って、そこで時間切れになればいい

そうと決めてからは少し走った。ほんの少しだけ。それで間に合った。

エイドから出てみる

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「もうエイドはないのか。。あ、でもここで終わりだから、考えなくていいんだ」そんなことを思いながら、エイドでつかの間の休息をとる。でもすぐに無情なアナウンスが。

エイド実況「はい。関門が閉じられましたので、今から10分後にエイドを出ないと強制リタイアですよ。繰り返します・・・」
自分「はいはい。もう知っています」
前回のエイドは関門5分前に到着していたから、すぐに追い出されることは分かっていたけど、無情なアナウンスにうんざり。ここでリタイアだから食べれるだけ食べておこうと決める。

そしてエイド閉鎖1分前。今更ながら葛藤が生まれる。「本当にこれでいいのか?」「もう一歩も動けない」「いやもしかしたら・・」という繰り返し。そこである答えを出すに至る。

とりあえずエイドからは出てみよう。出てから考える

こうしてエイドから出てしまったが為に、潔くエイドでDNFする機会を失い、また生き延びることになった。

前門のリミットタイム、後門のスイーパー

現状:55.3km地点(最終エイド)土肥駐車場外
時間:17:10
残り距離:17.2km
残り時間:約2時間50分

ポジティブなのかネガティブなのか分からない「先延ばし」をして、とりあえずは時間切れを逃れた自分。あと約17kmで3時間弱。この絶妙な時間。「こう間に合うかもしれないし、間に合わないかもしれない間隔」だった。
考えている時間も許されない。

あの無情な実況アナウンスが、エイドの出口に佇むボロボロランナーの自分に向かって、この状況に追い打ちをかける。
エイド実況「え〜エイド外にいるランナーの方!そろそろスイーパーが出発します!!早く走っていってください」
現時点でレース最終走者の自分には、佇む暇なんて許されない。

スイーパーとは最後尾の選手の後ろを走る最終ランナーのことで、杓子定規には扱わないけど、基本的に追いつかれてしまったらその時点で、アウト(DNF)。ダラダラとゴールを目指すことも許されない。

この状況は「前門の虎。後門の狼」。

前門の虎後門の狼とは、一つの災難を逃れても、またもう一つの災難が襲ってくることのたとえ。

つまりこういうことだ。前門のリミットタイム、後門のスイーパー。
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絶望的な状況に絶望していたところに、どんどん状況は悪くなっていく。

心を無にして走った

ここからはあまり覚えていない。時間は17時を回っていて、既にライトを点灯しないと前が見えづらくなっていた。

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*イメージ*

確かに必死に走れば、今からでも間に合うかもしれない。でも間に合わなかった時の衝撃も計り知れない。間に合うと思って「期待した結果」、間に合わなかった時の失望感といったら無い。その衝撃は、昨年の野辺山100kmランで99km地点でDNFした時に、嫌というほど味わっている。

だからこうすることにした。

ただ目の前の道を走る。
この時点で考えことを辞めてみた。

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何だか走ることが楽しくなってきてしまった

ひたすら目の前の道を走った。途中数人のランナーを抜いたけど数えるほど。考えることを辞めて、目の前に道を走ることにした自分は、ここにきて(約60km地点)ようやく自分の走りに集中するようになっていたのかもしれない。

そして、

何だか知らないけど楽しくなってきてしまった。

「ナイトトレイルなんて初めてだ!」たしかこんなことを思っていた。そこからは何も考えずにとにかくスピードを緩めず走った。転ぶのが怖かったけど、前方のランナーの光を目印に。

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するといつの間にか自分のある状況に気づいた。
明らかにスピードを出して、「飛ばしている」10人弱のランナー集団の中にいる自分を。
幸運なことに65kmを過ぎたあたりから、暫くのあいだ下り道だった。

自分の中のある感情を抑えながら、走ることにだけ集中した。ある感情とは「これは間に合うのかもしれない」という感情。でも時間内に完走できる保証なんてどこにもなかった。「また」間に合わない衝撃を受けるのが嫌で、この時はもう

「間に合わなくたって良い。とにかく今は必至に走る」

こう決めていた。

こうして1km、1kmの遠さを死ぬほど感じながら、65km、66km、67kmと刻んでいく。そして遂に山を抜けた!!!
この時70km地点。時間は19:45。

間に合うのか!?間に合わないのか!?

残り時間15分で残り2.5km。

普段なら行けるだろうけど、でも今はそんなことを考えている暇はない。
「まだ諦めていないランナー数人」と声を掛け合った。

「絶対に間に合う!」
「諦めない!諦めない!俺は絶対諦めない!」
「行けるわよ!絶対行ける!」
「ここまできたら行くしかないって!」
見ず知らずのランナーだったけど、お互いに励まし合って、最後の最後の15分を必死に走って、走って、走った!
そして遂に!(ゴール手前で元帥への忠誠を示すAdmiralTシャツを見せ。。。)

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19時58分フィニッシュ!!走行時間13時間58分。

ゴール前にはずっと長い間待ってくれていたであろうAKBさんがいた!!ずっと待って寒かったでしょう。。。ありがとうございます!!と、呪文のように唱えつつAKBさんとフィニッシュハグ!!

そこに仙人が!

バスの中では「距離」があったけど、仙人がフィニッシュハグ後に、心も体も温まるご褒美「豚汁」を用意してくれた!本当に美味しかった!そして、最後に盤石なあの方!盤石兄さん!!待ってくれていたことに感謝!!ありがとうございました!!!

まだまだ距離がある二人でしたが、
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最後には、

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 *健闘を称え合い、距離が無くなった二人*

レース総括

というわけで、ランニング人生初とも言えるリタイアを本気で思い、決してポジティブではない「先延ばし」をして、無心になり、無心になったら楽しくなり、最後の最後には他のランナーに支えられ、最終的には一緒にレースに出場したチームメイトたちから祝福してもらうという、本当に有り難い、有り難い体験をすることができました。

「絶対に自分は諦めませんでした」と言いたいところでもあるのですが、実際は心完全に折れていました。そこから持ち直して、ある意味無心になったことが功を奏しましたが、最後は自分の力で走りきることは、絶対に無理でした。どんなに強がっても絶対に無理だったと思います。

・最後の最後に「まだ諦めていない」ランナーたちがいたからこそ
・ゴールで待ってくれているチームメイトたちがいたからこそ

最終局面で足を止めなかったし、「あと15分後にどのみちゴールするなら笑顔でゴールしたい」という気持ちになれました。
だからゴール後に「フィニッシュできた」という感情よりも先に、「フィニッシュさせて貰った」という感情になりました。

このレースに出場できたことにまず感謝し、このレースの開催に協力して頂いた松崎町・修善寺の地域の方々、ボランティアの方々、レジェンド鏑木さん始め開催運営委員の方々、チームメイトである兄さん、AKBさん、仙人、一緒に走った参加者たち、スムーズなレース運営に協力して頂いた方々、そしてレースの舞台になった伊豆の自然に感謝です!

ありがとうございました。本当にありがとうございました!!!

全てに感謝します。
2015-03-15 20.13.52

ぶれない!投げない!止まらない!
挑戦こそ我が人生!!
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【編集後記】

感無量でした。

富田 博之

富田 博之

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富田 博之(とみた ひろゆき)
ミャンマー現地採用(日系ミャンマー現地法人責任者)。
ミャンマーの人口最大の都市ヤンゴンで、2015年7月1よりコンサルティング事業立ち上げ業務に参画中。1986年9月生まれ。寅年、天秤座、A型。東京都西東京市出身、埼玉県所沢市育ち。

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